2013年1月21日月曜日

消費者としてのMBAマインド

冬学期もWeek 2が終了。だんだんエンジンがかかってきました。
が、来週は気が遠くなるくらい毎日いろいろな予定が入っていて
前半の山場になりそうな予感です。

今週ついにスタートしたAMR(卒業プロジェクト)ですが、思ったより面白そうです。
クライアント企業からコンサルフィーをもらっていることもあり(学校が)、
5ヶ月の期間中にクライアントに納得してもらえる成果は出したいと思ってます。
「学生だからこんなものか」と思われるのも癪だし。

さて、タイトルに書いた「消費者としてのMBAマインド」。
まあいつもの如くそんな大袈裟なものではなく、
最近ふと自分の思考の変化に気付いたのでポストしておこうと思った次第です。

MBAというと消費者側ではなく会社側のことについて学ぶというイメージで、
実際そのとおりなのですが、この消費者・会社という関係は表裏一体なので、
MBAで会社側の経営についていろいろ勉強していると
自分が普段一消費者として振舞っているときの思考、行動にも影響が出てくるわけです。

某テーマパークは普通の入場券に20ドルくらいプラスすると年間パスが買えてしまいます。
この年間パスシステムは経済学を応用した抱き合わせ販売の典型です。
多くの人が「20ドルのプラスなら2回来れば元が取れる」と思って
(さらにテーマパークに来た瞬間の高揚感とかも相まって)
年間パスを買ってしまうのですが、大抵の人はこの20ドルをドブに捨てることになります。
企業側の視点から見ると、1年の間に複数回来ることの価値の期待値は
20ドルしかないことが過去のデータから分かっているので20ドルにしているわけで、
顧客が複数回来ることにもっと価値を見出しているのであれば、
年間パスの値段もそれに合わせて上げるわけです。
(あくまで企業が合理的に行動した場合の話ですが)
なので、僕のようにテーマパークにそこまで熱狂的な興味がない人の場合、
その場の勢いに流されず通常入場券を買うのがよい判断になります。

で、本題。
明らかにMBAに来て変わったのが、製品やサービスの価値判断の仕方。
MBAに来る以前は以下のような感じでした。

① 新商品や新サービスが出てくる
② デザインや機能性、価格といった価値基準からそれらの価値を測る
③ 良い商品(サービス)か悪い商品(サービス)かを判断する

で、MBAに来たあとでは以下のように1ステップ増えました。

① 新商品や新サービスが出てくる
② それらの商品やサービスは僕をターゲットにしているのかどうか考える
③-1 自分がターゲットに含まれていると考えられる場合、
     デザインや機能性、価格といった自分の価値基準からそれらの価値を測る
③-2 自分がターゲットに含まれていないと考えられる場合、
     ターゲットが誰で、その人達がどのように価値判断を行うのか考える
④良い商品(サービス)か悪い商品(サービス)かを判断する

何も考えていない会社の製品やサービスを除き、
全ての製品やサービスには「ターゲットセグメント」が存在します。
ほぼ全ての日本人が日常的に消費している米やお茶といったものでも、
品質、価格などの観点からいくつものターゲットセグメントが存在します。

なので、製品やサービスの価値を判断するとき、
本当に大事なのは、「それらを売っている企業が自分をターゲットにしているのかどうか」
という判断をまず行うこと。これをしないと製品やサービスを客観的に見られません。
日常生活でよくお目にかかるのが、
「AさんはXについて全然駄目と言っていたけど、Bさんはとても良いと言っている」
という感じの話。これはAさんとBさんが価値観によって違うセグメントに属しており、
企業はBさんのセグメントをターゲットとして製品やサービスを提供しているわけです。

このセグメントという考え方に慣れていないと、
「親友のAさんが悪いと言っているから悪いのだろう」みたいな判断をしてしまい、
実は自分はBさんと同じセグメントに属しており、Xから大きなベネフィットを得られる
のにも関わらずXを購入することは諦めてしまう、
あるいは、逆に自分にとってベネフィットの無いものを購入してしまうということが起こります。

また、これを少し発展させると、
セグメントの考え方に慣れていない人からの情報を信じるのは
非常に危険ということにもなります。
もちろん人の価値観や記憶はかなり曖昧で偏見だらけなので、そういうリスクもありますが、
その人と自分が全く異なるセグメントにいる可能性から生じるリスクも大きいからです。

改めて考えてみると至極当たり前の内容なんですが、
MBAに来る前はこんな考え方していなかったのも確かですし、
これはMBAに来たことのささやかなベネフィットかな、と思ってます。


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2013年1月14日月曜日

正しい分析と正確な分析

冬学期もWeek 1が終了しました。
比較的良い教授が揃っている今期ですが、
1科目だけ壊滅的に授業が下手な教授がおり、費用対効果を考えて落とそうかなと。
基本的に、教授の熱意や教える力はアメリカの方が日本より上なんですが、
それでも「この人はすごい」と思えるのは2~3割くらい、
「まあ、許容範囲かな」というのが4~5割くらい、
あとは日本の平均的な教授と同じくらいひどいというのが実態です。う~ん。

さて、Week 1にも関わらず既に宿題が3つほどあり、
今もケース分析レポートにいそしんでいるわけですが、この1年半ずっと悩んできたのが
「正しい分析」をすべきか「正確な分析」をすべきかという問題。

ケースに模範解答は無いということは一応どの教授からも最初に言われるんですが、
いざ宿題となると模範解答というものが何故か存在し、
自分の成績は模範解答にどれだけ近いかで決まってしまいます。
(まあ、そうしないと成績が付けられないわけですが、
これは明らかにビジネス・スクールの自己矛盾の1つ)

なので、宿題をやるときは、
この模範解答が何かということを推測しながらレポートを書くわけです。
ただ、所詮元ネタがHBSのケースなので、そうそう完璧にできているものはなく、
問われている問題に答えようとすると、
ケースの方向性や授業で習ったコンセプトとは全く関係ない(そのケースでは重要性が低い)
情報が必要だったり、何か仮定をおかないと解き様がないことに
気付くことが多々あったりします。

これは、ケース作成者か問題作成者のどちらかが
論点を見落としているために起きるものですが、
これらの作成者は当然その論点に気付いていないので、
模範解答もそれらの論点には全く触れていないか、
あるいは作成者だけが当然と思い込んでいることを当たり前のように適用していて、
バイアスの無い第三者が見ると結構違和感のあるものになっているんです。

これがタイトルにある「正しい分析」ですね。高得点がもらえる分析ということです。

で、問題は、宿題やっているときに「論点の見落とし」に気付いてしまった場合。
自分で仮定やらを置いて補っていくとより「正確な分析」になるんですが、
一番の問題点は採点を担当するTAの90%くらいはそんなに頭が良くないので、
「正確な分析」の方がより望ましいということに気付かず、
模範解答=正しい分析と違うということで容赦なく低い点をつけてくる可能性が高い。

そうすると結構話がこじれてきて、教授に直談判したりするわけですが、
いずれにせよTAとの仲が悪くなってしまったりするわけです。

じゃあ「所詮授業の話だし、正しい分析をしたら」ということになるんですが、
この論点の見落としに気付くと、見落としていることを前提にした答えが
違和感ありすぎてなかなか受け入れられないんです。

また、たまに(10%くらい)「その論点の見落としに気付くこと」が模範解答だったりもするので、
もしかして今回はそのパターンかとも思ってしまうわけです。

いずれにせよ、来週提出する宿題の1つが現在そういう状況でして、
どうしたもんかなあ、といろいろ考えているところです。


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2013年1月5日土曜日

もうすぐ冬学期

冬学期は来週の月曜日から始まるので、今週末が最後の冬休みです。

やっぱり1年前の今と比べると、MBAに対して確実に飽きがきつつあるんですが、
今学期はMBA最後の頑張りどころにしようと思ってるので、
意識的に負荷を増やして10週間はフルスロットルでいきたいと思ってます。
(最後の春学期だけは最低限の授業数にするつもり)

実はやることは既に結構一杯一杯になってたりします。
まず授業。最終的に以下の5つを取るつもりです。

MGMT232F Behavioral Finance
MGMT260A Market Assessment
MGMT261B Global Marketing Management
MGMT262    Price Policy
MGMT406    Global Macroeconomy

マーケティングが面白くて仕方ないので、結局とことんマーケティングでいくことに。
ワークロードが比較的重いのはMarket AssessmentとPrice Policyの2つ。
あとの3つはシラバス見る限り、アメリカのMBAにしては軽いなあという印象です。
Case Write-upが3~4つにファイナル・レポートのみ、といった感じ。

これに加えて、今期から卒業プロジェクトにあたる
AMR (Applied Management Research)が始まります。
これは実際のクライアント企業に対してコンサルを行うもので、
ミシガンとかダートマスにも似たようなプログラムがありますが、
初めて取り入れたのはAndersonで伝統のあるものなんですよね。

NDAを結ぶのであまり詳しくは書けませんが、
うちのグループはあるハイテク企業のマーケットリサーチをやる予定。
ただ、上記のとおり今期は取りたい授業が多いので、
個人的には、今期のAMRは8割くらいの力で流して、
来期全力で追い込もうかなあと思ってます。

そしてさらにさらに、所属しているEaston Technology Leadership Programから、
前期やった起業家のパネルイベントの運営よかったから
今度はハイテク企業の幹部を呼んでパネルイベントを開いてくれと言われました。
正直どうしようか迷ったけど、Student Council memberとして
今期それ以外に活動できそうなことも見当たらなかったので引き受けることに。
もちろんEaston Programのイベントが今期はそれ以外に5つほどあるので、
そちらへの参加でも結構時間を取られそう。

そして最後に、英語のプレゼン能力を高めるために、
Anderson Toastmastersに加入することに(実際は先学期の最後から参加している)。
このToastmastersは世界的なNPO団体で日本にもいくつか支部があります。
ということもありそれなりに真面目に活動してるクラブなので、
何回かちゃんとしたプレゼンをやることになると思います。
まあ、他が回らなくなったら真っ先に切りますけど。

というわけで書いてたら、こりゃ結構大変じゃないかと思えてきた(笑)
まあMBAにはこういうアップアップな生活を求めてきたので本望ではあるんですけど。
がんばろうー


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2013年1月1日火曜日

ゆく年くる年

今年も残すところあと1時間となりました。
生涯で始めて丸々海外で過ごした1年が終わろうとしています。
(もしかしたらこれが人生最後かも)

最後の最後でひどい風邪を引いてしまって1週間以上もダウンしてしまったけど、
1年トータルで見ればよく頑張ったと思うし
自己評価としては80点くらいかな、といったところです。

MBAも2年目に入ってしまうと目新しいことも無くなってきて、
惰性で済ませようという誘惑にかられることも多くなってしまいがちなんですが、
何だかんだでMBAライフもあと5ヶ月強しかないし、
2年間終わったときに(やり残しはあるだろうけど)満足いくだけはやった
という気持ちで日本に帰れるようにしたいと思ってます。

不思議なもので、仕事をしていたときは早く一回職場を抜け出して留学したかったのですが、
今はまた仕事を始めるのが何となく待ち遠しいです。
前にもポストしたとおり、MBAの知識やスキルが短期的に、
直接業務で活きることはほとんど無いと思いますが、
少なくとも日本の職場で2年間仕事するよりはいろいろな面でレベルアップできたと思ってますし、
新たな観点や職業観をもって、もう一度仕事に取り組むのが楽しみなわけです。

卒業、そして帰国と、来年は自分の人生に確実に大きな変化がある年になります。
ちょうど今から1年後、2013年が終わるときに
どのような気持ちでいるのか今から楽しみです。


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