2013年4月25日木曜日

MBAの成績はどれくらい重要か

先日ある同級生とMBAの成績と将来性には相関があるのか、という議論になりました。
結局こういう議論は往々にして平行線にしかならないんですが、
せっかくなので自分なりの考えをまとめておこうと思います。

まず、大前提の事実として、多くのMBA学生は成績を気にしません。
これは、ほとんどのビジネス・スクールが成績非開示ポリシーを策定していて、
就職する際に企業の人事に成績を言わなくてよいということを基本としているためです。
ほとんどの企業もこのポリシーに対して理解を示してくれています。
また、98%の学生はこれが最後の学生生活(博士課程に行くつもりはない)となるため、
博士課程入学に求められる高いGPAを取る必要もありません。

とは言うものの、やはり中にはGPAやDean's listなどのHonorを気にする企業があることや、
高いGPAが取れれば、それはそれで積極的にアピール材料に使えるため、
1年目の必修科目については皆かなり頑張って勉強している感じです。
ちなみに、コンサルや投資銀行、グーグルなどの一部の事業会社はGPAを気にするので、
これらのところに行きたい人は、全力で成績を取りにいくことをお勧めします。
(日本支社は例外多し。目安としてはGPA3.8以上くらいらしい。)
これらの企業は成績がそこまで重要ではないと分かっていつつも、
だからと言って勉強の手を抜くようなやつはいらない、というロジックのよう。

2年目になると、既に就職先が決まっている学生が大半で、
成績に対するモチベーションが限りなく低くなるため、
1年目に頑張っていた学生も手を抜きがちになると感じています。

ただ、一方で、入学当初は高GPA取る気満々だったけど、
この同級生のプールでそれを達成するのは困難だということが分かり、
ビジネス・スクールだから成績なんて気にしないというのを理由にして
あえて諦めようとしている人もいるようには思います。
心理学で習った合理化というやつですね。まあ、それはそれでいいと思います。
やっぱり所詮はビジネス・スクールですから。

ここまでが前提。で、本題に戻ると、以前ポストした内容とも若干似たような論調ですが、
成績が良い人は卒業後の仕事においても上手くいく確率が比較的高めだと思ってます。
勉強に対してハードワークする人は仕事に対してもそうだと思うし(逆は不明)、
物事に対する理解力や経営の知識も十分に備わっているといえるためです。
現に、ビジネス・スクールでは有名になった卒業生がゲスト・スピーカーとして
講演しにくることが多いのですが、そのような卒業生は
MBA時代に学業でも素晴らしい功績を修めていることが多いです。
(例えば、Honor Societyには上位15%の学生が入れるけど、
スピーカーのHonor Society率は15%をはるかに超えている。)

で、じゃあ成績が芳しくない人はどうなのか、というと
このプールには3通りの人がいるので判断が難しい。3通りというのは、
① 仕事はできるが成績を気にしていないので成績は悪い
② 仕事はできるが勉強はできないので成績は悪い
③ 仕事もできないし勉強もできない

欧米のビジネス・スクールでも③が結構いるのは事実です。
ビジネス・スクールの入学審査なんてお化粧でかなり誤魔化せますからね。

一方で①や②、特に①が相当数いるというのは肌で感じていて、
テスト勉強はほとんどしないくせに、
グループワークの宿題やケースコンペなんかでチームを組むと
恐るべき地頭の良さを発揮する人がままいるんです。

なので、僕の意見としては、ビジネス・スクールの成績と卒業後の功績には
ほとんど相関はないというもの。相関係数で言えば0.3とかその程度。
実際、過去にこれを研究したシカゴ大かどっかの研究者がいて
結果は非常に緩い相関が認められるということだったかと記憶してます。

ちなみに冒頭に出てきた同級生は、
自分の成績が良いもんだから、強い相関があると言って譲りません。
という割に就職活動は全く上手くいってなくて、それはたまたま運が悪いんだそう。
まあ、不毛なんであんまり議論する気もないんですけど。

組織論で習いますが、こういうのを
Confirmation BiasとSelf Attribution Biasといいます。

自分も陥らないように気をつけよう、というのが今日の教訓。
(トピックと全く関係無し!)


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